日本うなぎを守る : 講話 11

塚本勝巳(海洋生命科学者、世界的ウナギ博士)

科学的放流実験に基づく放流事業の見直しを

 放流という増殖方法は現在、遺伝的多様性への悪影響、病気の伝播などの点で十分な検討が必要であるとの指摘があるが、なかでもウナギの義務放流の場合はその他の問題も懸念される。外来種混入問題である。

 今後、ニホンウナギのシラス不足を受けて、外国産シラスウナギの養鰻が盛んになることが予想される。現在すでにフィリピンやインドネシアからバイカラウナギ、マダガスカルのモザンビークウナギ、北米のアメリカウナギ、オーストラリアからオーストラリアウナギ、ラインハルディウナギなどが輸入され、養鰻適性が試験されている。

 養鰻池で成長の悪い外来種のウナギが義務放流の種苗に回され、河川生態系に侵入してくる可能性は高い。これによって在来のニホンウナギとの間で餌、棲み場所の競合が起こり、ニホンウナギの生息環境は悪化する。

 かつて1968年から10年間ほど、ヨーロッパウナギのシラスウナギが大量にわが国に導入されたことがある。やはりニホンウナギの種苗不足を補うためだ。ヨーロッパ種は成長が遅い、逃亡しやすいなどの技術的問題があり、日本の加温式短期養殖法に適合しないとのレッテルを貼られて、やがて養鰻池から消えていった。しかし、これらがなぜか大量に天然の水塊に棲み着いた。人が川や池に投棄したり、自ら逃げ出したりしたものだろう。

 1997~1998年に採集されたウナギの中で、ヨーロッパウナギの占める割合は宍道湖で31.4%、三河湾で12.4%にもなった。ウナギの大部分を放流に依存する新潟県魚野川では、簗漁で捕れる下りウナギのほぼ100%がヨーロッパウナギであったことがある。1個体アメリカウナギも見つかった。

 このほか、大分県入津湾にも多数の巨大なヨーロッパウナギが棲み着いていて、潜ってみるとハマチ養殖生け簀の下の底泥中から鎌首をもたげた姿が見えた。さらに驚くことには、東シナ海の男女群島で夜間表層に浮かび上がってきた産卵回遊中の銀ウナギを70個体あまり調べてみると、中に1個体のみであるが、ヨーロッパウナギが入っていた。ニホンウナギと一緒にヨーロッパウナギがマリアナ沖の産卵場を目指して泳ぐ姿を想像するとぞっとする。

 両種のハイブリッド(雑種)の報告はまだないが、実験的には両種の間で人工仔魚を得ることに成功しているので、天然でもその可能性は否定できない。その地域にいるものを増やし、これを大切に末永く利用していくのが正しい増殖のやり方である。

 ヨーロッパでは河口域で採捕したシラスウナギの移送・放流が行われている。日本でも国の事業費を使って養殖ウナギの放流が行われている。放流は行為そのものがわかりやすく、増殖対策といえば放流が真っ先に挙げられる。しかし、放流に使う種苗、放流時期や場所など十分に検討した上で実施しないと効果が期待できない。むしろ資源に悪影響を及ぼすこともある。

 まずは、効果を検証する科学的な放流実験を行い、最も効果の上がる放流方法を探りたい。一般に人の手が加わるほど、すなわち飼育期間が長くなるほど、魚は野性を失い、野外に放流したときの適応度が下がる。

 かつての稚アユの人工種苗で見られたように、行動が天然アユと大きく異なるために期待された放流効果が得られなかった例がある。ウナギでこうした研究はまだないが、長期間養鰻地で養殖されたウナギも野外でのカワウやゴイサギなどの天敵からの回避行動や摂餌行動が十分に備わっていないことが懸念され、これらは放流後の生き残りと成長、ひいては放流効果に大きな影響を及ぼす。

 養殖ウナギは性比が雄に著しく偏ることが知られており、雌の多い上流域に雄を大量に放流したときの効果は今のところ不明である。それならば性分化前の体長20センチメートル未満のクロコウナギを放流すればどうだろうというアイデアもある。さらにいえば、いっそのことヨーロッパのように採捕直後のシラスウナギを放流するのがよいのではないかというところまで行き着いてしまう。これならば飼育によって野性が失われる心配はほとんどない。

 しかしそれなら、シラスウナギの漁獲規制のほうが手っ取り早いとも考えられる。採捕によるダメージや移送による疲労がない分、そのほうがいいに決まっている。しかし人は、やはり自分の手でなにかをやりたいらしい。達成感を得たいらしい。こうした欲求を満たしてくれるのが放流だ。

 江戸時代に、捕獲した魚やカメを川に逃がして、殺生を戒める放生会という宗教儀式があったが、これまでの放流はちょっとこれに相通じるものがある。しかし現在のウナギの危機を救い、実際の増殖効果を追求するなら、放流は儀式的なものであってはいけない。真に効果のある放流をしなくてはならない。

 シラスウナギ放流を実施するとして、その場合はどこに放流するかが、問題である。アユのように放流したものを1シーズンの漁獲によって大部分回収してしまう放流スタイルとはわけが違う。増殖のためのウナギ放流の場合は、確実に銀ウナギとなって川を下り、産卵場を目指してほしいわけである。

 もし、シラスウナギをダムや堰堤など河川構造物の上流に放流した場合、成長するまではよいが、その後銀ウナギとなって川を下る時が問題となる。ウナギの降海のために様々な装置が考案され、試されているが、川を遮断する大規模な河川構造物を安全に通過させられる有効な手立てはまだないからである。

 したがって増殖目的のウナギ放流は、成長目的の空間拡大という意味だけでなく、確実に降海できる場所に放流するのでなければ意味がない。現在、ウナギの放流事業については十分な検討のないまま、放さないより放したほうがよいだろうとの暗黙の了解で進んでいる。今後、ウナギについても科学的放流実験に基づく放流事業の見直しを早急に行いたい。同時に、放流以外の増殖対策にも目を向け、力を注ぎたい。密漁の河川パトロールや多自然型河川への改修など、天然ウナギの保護と河川環境の保全・再生のためにやるべきことはたくさんある。

 

塚本勝巳(つかもと・かつみ)

うなぎ業界の実態報告(Wedge Report) 講話10

 台湾のシラスウナギ(ウナギの稚魚、以下シラス)輸出業者は我々取材班にそう告げた。なぜ名を出すことを頑(かたく)なに拒むのか──。それは彼に「罪」の自覚があるからである。

 日本人の好物であるウナギを巡って、台湾、香港、日本を舞台に壮大な「不正」が行われている。今回、取材班はその舞台である台湾、香港へと飛び、関係者らを取材した。

 取材のアポイントメントを入れるのにはかなり骨が折れた。当たり前だが話すメリットなどなく、誰も話したがらないからだ。だが、様々なコネクションを使って、交渉を続けた結果、匿名を条件に複数の人物が取材を受けてくれた。     

 台湾は2007年にシラスの輸出を禁止した。正確に言えば、台湾でシラスが採れる10月下旬~3月末とほぼ重なる11月~3月における輸出の禁止である。冒頭登場した台湾の業者は、シラスの密輸出に携わる人物である。

 「もちろん台湾でシラスの輸出が禁止されているのは知っている。だから色んな〝抜け道〟がある香港へまず運び、その後日本へ運ぶんだよ」

 台北市内のとあるホテルの一室で、台湾の輸出業者は身振り手振りを交えながら話をした。

「台湾で採れたシラスは、香港の〝立て場〟に運ばれ、そこから日本へ向けて輸出されます。立て場には日本のウナギ業界でもごく限られた人しか行ったことがありません。詳しい場所も開示されていない知る人ぞ知る施設です。あまり首を突っ込み過ぎると、東京湾に浮かびますよ」

 取材に先立ち、ウナギ業界に詳しい人物からそう忠告を受けた。この人物だけでない。複数の人から同じような話を聞いた。

 香港の中心部から車で走ること数十分。舗装もされていない道を進んでいくと、業界の最高機密施設とも呼べる「立て場」が突然目の前に現れた。よく見ると、いたるところに監視カメラが設置されている。門をくぐると番犬が吠えながら近寄ってきた。

 本業は中国本土で賭博の胴元をしているというシラス問屋は「台湾からの密輸入などお安い御用だ。漁船で香港へ水揚げしたことにすればいいし、中国の港まで漁船で運び、(香港と隣接する)深圳(シンセン)から陸路で入ってもほぼノーチェック。航空機を使ったとしても、空港で働く税関の一部の人間と手を握ればよい。何が難しいんだい? この立て場からシラスは日本へ向かっていくんだよ」とお茶を飲みながら淡々と話す。


 多くの日本人にとって、実は「立て場」は無縁の場所ではない。ウナギ好きであれば、立て場に一時保管されたウナギを口にしている可能は極めて高いからだ。

 「国産のウナギしか食べたことがないから自分には関係ない」と考える方もいらっしゃることだろう。しかし、香港の立て場から日本へ送られたシラスは、養鰻池に入れられて出荷サイズになるまで育てられる。養殖ウナギは主たる養殖地が産地となる。つまり台湾から香港の立て場を経由したシラスはその後「国産ウナギ」として販売され、日本人に「国産だ」とありがたがられながら頬張られているのだ。

 ウナギを生業(なりわい)にしている人であれば誰でも、シラス漁やその取り引きが裏社会と密接なかかわりをもっていることを知っている。昨年のWedge8月号で報じたように、日本国内では暴力団らによるシラスの密漁がはびこっており、輸出が禁じられている台湾からは、香港を経由して国内へ輸入されていることもまた、業界公然の秘密だ。

日本の水産庁にあたる、台湾の行政院農業委員会漁業署の黄鴻燕副署長は「香港への密輸があることは承知している。罰則強化を検討するなどしているが、取り締まりは容易ではない」と話す。

 また、日本鰻輸入組合の森山喬司理事長に、台湾から香港を経由して、日本へシラスが入ってくる不透明な取り引きの実態について取材したところ、その事実を認めたうえで、「ただ、これは今に始まったことではない。台湾は07年からシラスの輸出を禁止したが、それ以前にも禁止していた時期がある。いわばずっと禁止状態で、同時に日本はずっと輸入している状態だ。今のところ、組合として台湾からのシラス輸入防止に向けて何らかの対策をうつつもりはない。香港からの輸入は日本政府も認めている」と話す。「台湾では日本よりシラスの漁期が早いことから、夏の〝土用の丑の日〟までに出荷サイズに育つシラスが多く、日本の養鰻業者にとってこのシラスはかなりありがたい存在」と続けた。

 こうした状況に対して水産庁増殖推進部のウナギ担当者は「日本からすると、香港から輸入されるため密輸入とはいえないが、輸出を禁じている台湾からシラスが日本へ入ってくる仕組みはよくないとは思っている」と話す。

 ウナギは、人工孵化(ふか)から育てた成魚が産卵し、その卵をもとに再び人工孵化を行う「完全養殖」の実用化技術が確立していない。つまり、天然の稚魚(シラス)を捕獲し、養殖の池に入れて育て、出荷するしか方法がない。

 日本でウナギが大量消費される夏の「土用の丑の日」は例年7月下旬か8月上旬に訪れる。今年は7月30日だ。


 シラスは一尾0・2グラムほどで、これを出荷サイズである200~250グラムほどにするには、天然の場合、環境にもよるが5年ほどかかる。一方、日本で一般的な養殖方法であるビニールハウスとボイラーを使って、水温を上げ、エサを与え続けて太らす方法だと、わずか6~7カ月ほどで出荷サイズにまで成長する。つまり、1月中旬までには養鰻池に入れなければ、その年の「土用の丑の日」の出荷には間に合わない。

 日本のシラス漁最盛期は、年にもよる(シラスは、新月かつ大潮の日に海から川へ大量に遡上するため、そのタイミングで河口付近で採捕する)が、1月下旬~2月上旬が一般的である。シラスはマリアナ海溝で生まれて、黒潮にのってやってくるが、日本からみると黒潮の「上流」である台湾では、11月1日からシラス漁が解禁され、11、12月が最盛期となる。少しでも早くシラスが欲しい日本の養鰻業者が台湾のシラスに飛びついている、という構図だ。

 シラスの価格は日々変動するが、土用の丑の日に間に合う時期のシラスを巡っては、数年前から1キロ300万円を超すことが常態化しており、これは銀の価格をもしのぐ。この高価格は考えてみたら当たり前だ。7月下旬の「土用の丑の日」に間に合わせるため、買う側である日本の養鰻業者はどうしてもシラスが欲しい。売る側はその足元を見て販売できるからだ。

また、高値でしかシラスが買えない状況をつくると、「購買力のある巨大な養鰻業者以外は購入できず、寡占化を進めることができる」(養鰻業者)という面もある。この影響は日本にとどまらない。「約10年前、台湾では1700社ほどの養鰻業者がいましたが、現在では1100社ほどに減っています。実際にウナギを取り扱っている企業となると、さらにその半分ほどです」(台湾区鰻魚発展基金会の郭瓊英元董事長)という。養鰻業者の数が減っている要因は他にもあるというが、なかでもシラス価格の高騰は大きな要因だという。

 また、シラス価格の上昇は、最終的には消費者に価格転嫁される。特に「新仔(しんこ)」と呼ばれるシラスから半年ほどで出荷サイズに育てたウナギは人気があるため、価格転嫁しやすい。

 だが、とある老舗ウナギ屋の店主は「日本の新仔幻想はくだらない。半年ほどで急に太らせた、いわば肥満児のウナギをありがたがって食べているだけ。正直ウナギのレベルとしては高くないので、ウチでは絶対に使わない。タダでもらっても使わない」と話す。

 例年、土用の丑の日が近付けば、「今年もウナギ屋には行列ができています」「このスーパーではウナギが安値で購入できます」という食欲をそそる平和なニュースが流れる。だが、その舞台裏では魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)する、ドロドロとした世界が広がる。

 ウナギの問題は密漁や密輸入といった違法行為だけではない。日本人はこれまで世界のウナギを食い尽くしてきた。日本や台湾、中国、韓国など東アジアに生息しているニホンウナギは14年にIUCN(国際自然保護連合)によって、「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い」とされる絶滅危惧IB類に指定された。

 護岸工事や堰(せき)の設置などといった環境要因もあるとはいえ、これまでシラスを採れるだけ採ってきたことと無縁ではないだろう。

 このニホンウナギだけでなく、ヨーロッパウナギ、ビカーラ種などもそれぞれ絶滅危惧IA類、準絶滅危惧に指定されているが、これも日本人の「ウナギ爆食」と無縁ではない。日本の商社が世界のウナギをかき集め、それを日本人が食べ続けることで、資源量を大幅に減らしてきたのだ。

                        
絶滅危惧種だらけのウナギ(出典・各種資料をもとにウェッジ作成)  挙げ句の果てにはワシントン条約「違反」まで

 また、ヨーロッパウナギに至っては、09年から野生動物の国際取り引きを規制するワシントン条約の附属書Ⅱにも指定され、許可なしには取り引きが禁止されている。また、EUは域外との商取り引きを全面的に禁止している。

 だが、毎年外食店やスーパーでウナギを購入してDNA検査を行っている北里大学の吉永龍起准教授によると、今なおヨーロッパウナギを取り扱っている店があるという。EU域外国へ不法に出されたシラスが、香港を経由して、中国で養殖・加工され、日本へ輸入されているものとみられている。

 DNA検査を実施すると、ヨーロッパウナギであることがすぐに判明することなどから、昨年から急激にヨーロッパウナギを取り扱う店舗は減少したが、未だに日本国内で販売されている。

 ウナギの取材を始めると、次から次へと違法行為や不正、業界のコンプライアンス意識の低さなどが明らかになってくる。「今年も土用の丑の日がやってきました。おいしくウナギをいただきましょう」などと言っている場合ではない。

 そもそも「土用の丑の日」にウナギを食すようになったきっかけについては諸説あるが、江戸時代に平賀源内が知り合いのウナギ屋から依頼されて、閑散期である夏に売り上げを伸ばすためにつくったキャッチコピーという説がよく知られている。

 日本のシラス問屋、養鰻業者のみならず、絶滅危惧種を大量販売し続けるスーパーや外食店、資源問題には触れず土用の丑の日だからといって消費を煽るメディア、それぞれに責任はある。知らず知らずのうちにではあるが、残念ながら、消費者もこうした状況をつくりあげている一員である。

 もし、平賀源内がこの世にいれば、こうした「惨状」を知るにつけ、「土用の丑の日」のキャッチコピーを取り下げるかもしれない。


安全・安心・高品質なうなぎとは? 講話 9

よく通販や販売資料の中に、弊社で販売するうなぎは安全で安心な高品質なうなぎを全国各地より目利きの職人がその時期に最高のうなぎを選別し皆様に提供していると言った様な文言がよく見られますが本当にそうでしょうか?
本当にそれを実践されている業者さんが居れば本当に頭の下がる思いです。安全で安心は無投薬のうなぎであれば安全で安心なのでしょうか?投薬に関しては国の規制の中でそれぞれの事業者それを遵守されていると思います。しかしながら中国に於ける養殖事業は口では一切規制薬物を使わないと言いながら未だにガン発症の危険性のあるマラカイトグリーン焼抗生物質が使われている所が有ります。
薬物使用の主な目的は病気治療や発症を抑えるためです。その主な要因は養殖池の水質にあると思います。
うなぎ養殖は水質確保と養殖効率を高める為にうなぎの生育に必要な水温確保が必要です。その為、養殖池の水の温度確保のために季節により25度~28度迄ボイラーで池全体を暖める事が必要です。
多くの養殖業者は水温確保のため、数百万円から数億円に上る燃料代が必要になって来ます。その費用増加回避が絶対条件である。養殖池の水の交換をする度に水温確保のための燃料代が増加致します。必要な水効果をしていかないと養殖池の水が汚れてしまい病原菌が発生してしまいます。
養殖池の水温を変えずに水質確保をする為に大半の生産者が行なっている方法はバクテリアによる水質浄化です。非常に効果的な方法で俗に言う水造りです。即効的な効果は少ない所が思われますが有効な方法で有ります。
ここで一つ考えて見る必要が有ります。この方法は有効では有りますが安全で安心なうなぎ養殖と言えるでしょうか?微生物による水質浄化は効果が見えにくいと言う所が難転であると言えるでしょう。西日本水産ではこの難点を回避すべく、豊富な温地下や地上に湧出する温伏流水ををかけ流しで使用する事で清浄環境を確保し、同時に養殖水温を確保しております。その為完全無投薬所が同時に安全で安心なうなぎ養殖を実施している。仕組みとして養殖環境を整えている事が安全で安心なうなぎを本当の意味で供給出来る事が出来ると言えるのでは無いでしょうか

異種うなぎについて 講話 8

今年も丑の日が近付いて来ましたね。今年の丑の日は7月25日と8月8日通り2回有ります。本番の丑の日は7月25日で、今年は大阪の天神祭と同じ日です。関西では天神祭には鱧を食べる習慣が有りますが普通のご家庭ではうなぎを食べる御家庭が多いのではと考えて居ります。
一般の御家庭ではうなぎを買い求めになり家族でうなぎを楽しまれるのではないでしょうか?
ここ数年、日本のうなぎ市場に顕著な動きが見られます。皆様ご承知の通り、日本うなぎは気候変動や乱獲により捕獲数が激減して居ります。日本うなぎが絶滅危惧種に指定されて以来、日本の食文化で有りますうなぎに関して大きな動きが見られます。
従来、我々の食して来たうなぎは日本うなぎAnguilla Japonica種ですがそれに代わるうなぎが海外より稚魚で輸入され日本国内で養殖出荷される為、日本うなぎとは違った国産うなぎが多く見かけられる様になって来ました。
日本うなぎは我々日本人が大切に守って来たうなぎで有り本当に美味しいうなぎです。海外種の国産うなぎは基本的には味覚・品質共に遠く及びません。ナマズをうなぎの代用にしても決してうなぎにはなりません。それと同じ様に海外種のうなぎは決して日本うなぎにはなりません。見た目では素人では見分けがつかないと思われますが食べて見るとその違いが分かります。
スーパーの店頭でうなぎを選ぶ時に日本うなぎかどうか気をつけてて下さい。

うなぎ割烹名店とは?  講和7

流水掛け流し養殖とそれ以外の養殖との差?講和6

この業界で仕事をするようになって、業界の裏表が良くわかるようになりました。非常に真面目に真摯な姿勢でうなぎを育てている生産者、産地を前面に出し、名前だけでブランドの証とされる似非名店、下請け加工されたウナギを自店の名前だけで売りに出す名門割烹料理店、明らかにガスライン焼き上げの商品を備長炭炭火焼として加工販売される加工業者、ジャポニカ種と言われる日本うなぎ以外の海外うなぎを国産ウナギとして販売される有名百貨店、有名スーパー等々数え上げたらきりが有りません。

非常に真面目にコツコツとより良いうなぎをお客様にお届けしたいと頑張っている生産者や料理店が大半ですがその意に反して消費者を欺き自社の繁栄だけを考える業者も沢山あります。

消費者の皆様もそれを見極める目を持たないと業界全体がおかしくなります。

店の大小や知名度、歴史ではなく本物をご提供される料理店こそ名店であります。名店は自分の目で確かめるものです。

魑魅魍魎が跋扈している業界で本物をコツコツとご提供されている名店を探してみてください。

シャコを主餌に与えられた金うなぎの特徴は他では見られない発想からスタート致しております。甲殻類であるシャコにはたんぱく質や脂肪と言った栄養素は多くは含有されておりません。しかしながらシャコを与えられた金うなぎは非常にふくよかに育っております。

それは甲殻類の体液に含まれるミネラルである銅が大きく関係しております。人間の身体には80mgの銅が存在致しております。その内の50%は筋肉内に存在し、残りは血液や他の臓器に存在致します。胴は鉄分と反応し、血液構成を支援いたしており人体にとって必要欠かせないミネラルです。シャコを主餌に与えられた金うなぎはシャコのミネラルである銅を吸収しその筋肉の構成致しております。その為、金うなぎは単に魚粉や魚油やでんぷんを与えらた養殖ウナギとは違い、天然うなぎに近い魚体構成になるわけです。

安全・安心な高品質のうなぎ作りの為に希少なシャコを与えて魚体造りから始めております。従い、金うなぎは天然に最も近い養殖ウナギとの評価になるわけです。業界では非常に注目をされており、『養殖は天然を超えて良いものか?』とのキャッチフレーズでそれを食する人達の健康に寄与している訳です。

 

金うなぎの特徴 うなぎ四方山話 講和5

業界では流水掛け流し養殖とバクテリア使用の養殖の差が言われる事が有りますが実際はどうなんでしょうか?

基本的に流水掛け流しに養殖は清浄な環境でうなぎを育てることがその目的であります。それに比べてバクテリアによる水造り養殖は老廃物をバクテリアに処理をさせて池の清浄度を保つと言う事なんですが掛け流し養殖の出来ない環境にある業者さんたちが大変な苦労の末に作り出した養殖技術です。

その環境の無いところでウナギ養殖を確立される御苦労には頭の下がる思いです。

しかしながら出来上がるうなぎの品質は一長一短が有り実のところ何も言えないと言うのが実態です。ウナギ養殖はコストとの勝負と言った所が非常に重要なファクターです。特にうなぎの効率的な養殖は水温の維持と言う事が有りますが、バクテリアによる養殖池はボイラーの加温による運度管理が使用燃料コストが大きくなりますが可能です。それに反して流水掛け流し養殖は温度管理が出来ないため冬季のメンテナンスが不能である事からウナギが冬眠に入ってしまい餌を食べない状態で効率的な養殖が出来なくなります。

考えてみtればこの両方の弱点をカバーできる設備・環境のある所が大変有利なうなぎ養殖が可能になります。

従い、温地下水の湧出するエリアの掛け流しうなぎ養殖が最効率のうなぎ養殖が可能になるところです。鹿児島・宮崎のこの環境にある所は著しく業績を伸ばしているようです。

筑紫 金うなぎはこの条件を100%クリアできる鹿児島県の指宿で育てられておりその環境は開聞岳の34℃の伏流水での養殖が可能である。

また差別化の為に自社調達の特許取得しているシャコを主餌として給餌する事で天然を超える養殖うなぎを作り出している。

食品衛生基準 講和 4

マクドナルド・ローソンでの商品に対する異物混入の問題がマスコミにて報道されております。食に携われる企業にとって由々しき問題であり、あってはならない非常に重要なテーマです。

当然、両社とも非常に立派な企業であり社内での品質規定等も完備され、検査等も十分になされていると思われます。しかしながら、今回の不祥事に関してはどうして起こったのでしょうか?

食に携わる者は、規定整備や検査体制の充実を行うのは当然でありますが自社の規定や検査基準が下請企業まで確実に徹底されているのでしょうか?徹底されていると多分、両社ともに仰ると思われますが実際は仕事は企業がするのではなく人がするものです。

下請企業の従業員教育に迄、両社ともに入り込んで教育されているのでしょうか?本当ならそこまで入り込み、下請企業の社員全体にファミリー企業の従業員である事の徹底まで図る必要があると思います。懲罰制度の中で間違いを犯した下請企業の責任を問うより下請企業の従業員までファミリー意識を持ち仕事の出来る環境を作ることが重要であると私は考えております。

ファミリー企業の近代的な運用は絶対に間違いを犯さないシステム構築をすることも必要かもしれませんが精神論ではなくそこで働く人達のその商品に対する限りない愛情が必要であると思っております。

池田 うな智では一人一人のお客様、一品一品の商品に限りない愛情を注ぎ本当に喜んで頂けるように社内の自主基準、検査基準を設定しております。

うなぎ蒲焼たれ四方山話 講和 3

伝統の100年以上続く鰻の名料理店の秘伝のタレという話を良く耳に致します。非常に耳触りのよい響きですがそのお店のテイクアウトの添付タレには必ず消費期限が入っております。それでは伝統の元タレの消費期限は何時までなんでしょう?鰻屋さんのタレは常に加熱処理をしており、新しいタレを継ぎ足しております。従い、元のタレは常に替っております。従い、元タレの消費期限は常に最長期間あるということです。また継ぎ足し用のタレのバージョンが変われば全く伝統のタレとは違うタレが出来上がるものです。

池田うな智ではニューバージョンのタレのベースを開発することの基本的姿勢は食する人の安全と安心を担保することが基本であります。

その上で伝統のタレにそれを育て上げるのがその鰻職人の技術であり技量です。

タレを開発する時に一つだけ大きな問題があります。

池田うな智では完全化学調味料無添加を実行しておりますが食品添加物の中にカラメル(色素)と言うものがあります。池田うな智ではⅠ類のカラメルを使っております。カラメルⅠ類というのは昔ながらの方法で砂糖のみを加熱し作り出すものでプリンの上に乗っている茶色の部分がカラメルです。Ⅰ類のカラメルは昔から全く健康に問題がないと証明されております。非常に手間が掛かるため最も高価な材料です。これはむしろ単なる食品のカテゴリーに入れられるべきものであると思いますが、色を付けるという目的では色素のカテゴリーに分類され添加物の扱いになります。

カラメルにはⅡ、Ⅲ、Ⅳ類に分かれます。Ⅱ類は糖類に亜硫酸を加えて加熱して作ります。Ⅲ類は糖類にアンモニューム化合物を加えて加熱合成致します。Ⅳ類は糖類に亜硫酸とアンモニュームを加えて加熱合成致します。

これでお分かりになると思いますが使う糖類は同じでも化学薬品を加えて加熱合成したものと池田うな智で使用するⅠ類のカラメルとは全く異質のものです。

添加物としてのポジションを確保するためにカラメルの添加を無くすることは簡単ですが蒲焼のタレには醤油やたまり醤油、ザラメの砂糖を使います。厳密にいえばこれらの材料の中にはカラメル色素が使われております。完全無添加のタレを作れば色の付かない蒲焼になってしまいます。

サイダーの様に色の付かないコカコーラー、色の付いていないインスタントコーヒー、ソース、醤油を皆様はどう思われますか?

池田うな智では食する人の健康の為に安全安心なⅠ類カラメルを使用し、安心してお召し上がりになれるタレを開発使用しております。

うなぎの価格について 講和 3

 一般のお客様より時々、うなぎの旬は何時でしょうかと聞かれる事が有ります。夏の土用の丑の時が特に美味しい時期と言う人も有れば、これから寒くなる初冬が冬を迎えるのに脂を貯え本当に美味しくなる時期であると言われる人もあります。私は何れも正しいと思っております。今のうなぎは95%以上養殖ウナギが市場に出回っております。

うなぎを養殖するにはそれぞれの養殖業者は常に効率の良い環境の中でうなぎを大切に養殖致します。冬の寒い季節になれば当然ウナギが冬眠状態になり餌を食べなくなります。そうなりますと成長が暖かくなるまで止まってしまいます。それを避けるために養殖池を加温して餌を沢山食べる環境にしております。うなぎは水温が30度を超えても問題はありません。時には35度近くまで水温を上げ病気の予防を致します。

それぞれの養殖業者さん達は苦労をして年間の養殖環境を一定に保たれる努力をされております。言い換えれば周年同じ環境で養殖されるうなぎは周年同じ状態で養殖出荷されます。その為、天然うなぎは別にして養殖うなぎは年中旬のうなぎになると考えるのが妥当だと私は考えております。産地による品質の差は養殖池の水質の問題と給餌する餌にあると考えております。

それぞれの養殖業者さん達はそれぞれの地域環境の中でウナギ養殖に適した環境を造り、コストに見合った餌を与えております。

池田うな智で使われているうなぎは温地下清浄水の湧出する環境を選定し、高価な甲殻類(シャコ)飼料及びイトヨリ鯛を中心にしたホワイトミールの混合餌で育てております。

従い、お客様より旬の問い合わせが有った時には年中ですとお答えするか今が旬ですとお返事させて頂いております。

うなぎの価格について!!

日本鰻の資源枯渇の問題が喧伝されておりますが、来年以降ワシントン条約が締結されますと、今まで輸入されていた鰻が日本に入って来なくなる可能性があります。日本の鰻の消費は国内産鰻を超えて半分以上は輸入に頼っているのが現状です。その大半は中国、続いて台湾及び韓国です。その他の国から輸入される鰻は残念がら日本鰻ではありません。因みに池田 うな智は3大ブランド生産池依りの直接出荷となりますので生産池も全部で45池位になりますので原魚供給から加工まで安定生産が可能な状況です。

そんな状況の中で、国産鰻の価格はどうなっているか考えてみましょう。昨今、うなぎの稚魚の不漁でその価格は1㎏当たり250万円以上の価格になっておりました。生産業者は1㎏で250万円もする稚魚を調達してそれぞれの池で養殖する訳ですが、深刻な問題はまだあります。それは油代です。何故油代が掛るかと云いますと稚魚を調達する時期は毎年12月~1月です。厳寒の池でうなぎは育ちません。従って池を温めて稚魚からうなぎの養殖をするわけですが池を温める油代が通常の養殖業者では1,000万円程度、大規模業者ですと数千万円~億円単位の油が池を加温するだけで掛ってしまいます。同時にうなぎを育てるのにその餌代も生産者にとって非常に大きな出費になります。従って本来の鰻のコストは非常に高くなってしまいます。

それでも巷には安価な鰻が販売されています。何故でしょう?いい加減な鰻の蒲焼が氾濫しています。うなぎに関する産地偽装や残留薬品の問題等が非常に多く新聞紙上を賑わすのも我々は大問題であると考えております。そのようなうなぎはある程度の覚悟をして食べる必要があります。

本当に良い鰻を良心的に加工をすればそれなりのコストが掛かり、それなりの販売価格になります。池田 うな智は皆様に本当に良い物をお届け致します。池田 うな智は高品質なうなぎを伝統の技術で加工処理し皆様にリーズナブルな価格でお届けする事が企業のミッションであると考えております。

鰻四方山話 講和 2

関東・関西の鰻の違いが分かりますか?関東は背開、関東は原開問う云うのが一番の違いでしょうか。次に変わるのが関東は鰻を焼くのに鰻を蒸して皮を柔らかくする工程が這いますが、関西は鰻を蒸すことなく地焼で皮目を焦げるくらいしっかり火を通して仕上げます。

江戸風、浪速風どちらも甲乙つけがたいものです。

池田うな智の特に白焼は皮目にしっかり火を入れて焼き上げ、パリッとした皮目を楽しんだ後にジューシーな肉質を楽しんで頂けるように焼き上げております。

時には味は非常に美味しいのだけれど皮が焦げていると云うようなクレームを頂く事がありますが浪速の地焼きの伝統技術である事を御説明申し上げれば100%御納得をして頂けます。江戸風の焼き上がりを浪速の地焼きで御提供致しますと実は100%近くクレームになります。

池田 うな智は浪速の伝統技術である本格炭火焼地焼きを御提供致しておりますので関西の鰻の味をお楽しみ頂きたいお客様は是非お試しください。関西・関東の鰻の処理の仕方はその他にも沢山ありますが次の機会でお話致します。

 

ウナギの旬は? 講和 1